2016年08月23日 of nou style

米作り日誌/2016年8月23日

米作り2016



気が付けば、8月後半。

今年はいろいろなことがありましたが、イネはそんなことお構いなしで、すくすくと生長しています。

コシヒカリは穂が色づき始め、9月半ば頃の刈り取り予定です。

ヒノヒカリは出穂真っ只中。

イネの花粉で目がかゆくてたまりません。



今日は雄町にスポットを当てて振り返っていきます。

長くなりましたので、興味ある方だけご覧ください。



omachi1[1].jpg
こちらは雄町の苗。

イネは苗づくりが大事。

だいたい、7枚目の葉っぱが出るころまでのイネの性質は、この苗づくりで大きく左右されます。

雄町は15~16枚の葉が出るので、半分弱くらいは苗づくりで決まります。

今植えられている苗の多くは稚苗といって、葉が2枚と少し出たときに植えるのが一般的です。

うちのコシヒカリとヒノヒカリも稚苗ですが、雄町はあえて、中苗と言われる、葉を4枚くらい出したものを植えています。

なぜ中苗なのか?

よい苗と悪い苗の評価方法はいろいろありますが、その一つに乾かした時の重さ(乾物重)があります。

つまり、重いほど苗がしっかりと育っているよねってことです。

昔、手で植えていた時代の苗は、とても立派な苗でした(見たことはありませんが…)。

その頃は中苗よりもさらに葉が出た状態の苗で、これを成苗といいます。

同じ時期に比較したときに、生育が進めば進むほど、乾物重が一番大きいのは、この成苗。

次に乾物重が大きいのは中苗…、ではなく、稚苗です。

これは、播種密度と育苗期間が大きく関係しています。

成苗時代は、田んぼにまばらに種をまいていたので、となり同士の苗が離れていて、思う存分大きく成長できました。

時代は手植えから機械へと変わり、育苗箱という長方形の箱に、土を入れ種をまき、並べて育てていくという方法になりました。

その結果、箱の中にまかれた種は、とんでもなく密度が高い状況に置かれ、生育が抑制されやすい環境になりました。

ただし、稚苗の場合、生育が抑制される前に植えてしまうため、乾物重の減少(成苗と比較して)がいくぶん抑えられています。

一方、中苗は稚苗よりも長く育苗するため、播種密度の高さの影響を受けやすくなり、乾物重の減少(成苗と比較して)が稚苗よりも大きくなってしまいます。

乾物重という点から見ると、中苗は一番劣っている苗と言えます。

そして、もう一つ大きな特徴が分げつ芽の退化です。

中苗は、稚苗と比較すると生育が抑制されやすいため、自分たちの生長に手一杯で、本来分げつするはずの芽を退化させてしまう傾向があります。

一般的には、早期に分げつを確保しましょうと言われているので、その点から言っても、中苗は劣っている苗と言うことができます。

さらに、中苗を育てようと思うと播種密度を稚苗よりも低くしないといけません。

稚苗と同じような播種密度だと、葉が4枚出るころには生育が著しく停滞して、それこそ軟弱な苗になってしまうからです。

そのため、面積当たりの必要箱数が多くなり、コストと手間がかなりかかってしまいます。

中苗が採用されなくなった一番の理由は、これだと思います。

ちなみにうちで作る稚苗は17箱/反ですが、中苗は30箱/反くらいです。

今取り組んでいる雄町栽培では、初期生育をゆっくりとさせたいことと、育苗の段階で分げつ芽を退化させ、分げつを抑えることで太い茎を作りたいという思いから、一般的には劣った苗と言われる中苗を採用しました。

短所と言われる部分も、見方を変えれば長所になるといったところでしょうか。


omachi3[1].jpg
ヒノヒカリと比較して雄町の苗は、弱っちい印象です。

ヒノヒカリはうまく育苗すると、とても硬く強い苗になります。

雄町は気合い入れて温度管理や水の管理をしないとひょろひょろな苗になりやすいところがあります。

写真は、強くたくましい苗を目指して、定期的に苗を押してやっているところです。

苗が大きくなるにつれて、荷重を大きくしてやります。

何度も何度も踏まれて…

強くなることを願って愛のムチです。

また、育苗初期に肥料が多いと、これまたひょろひょろ苗になりやすいので、育苗当初は無肥料で行い、葉の出具合を見ながら肥料を与えています。

最後にもひとつ大事な育苗のポイント。

一つの箱の中でも右端と左端で生育にバラつきが出るため、ある時期に左右をひっくり返す作業をしています。

特に中苗では育苗期間が長いため、生育のバラつきを抑えることが大事になってきます。

地味でしんどい作業ですが、隠れたファインプレーと勝手に呼んでいます。

カープの菊池選手がファインプレーに見せない素晴らしい守備をするように…。


omachi16[1].jpg
育苗から一気に飛んで、こちらは現在の雄町。

上から撮りました。

去年は植え付け本数が少なかったためか、今年よりもスカスカな状況でした。

今年はほどよい茂り具合かなぁと思います。

今は、止葉と言う最後の葉が伸びているところなので、もう少し葉の面積は増えてきます。

スカスカ過ぎても茂りすぎてもダメ。

何事でもいい塩梅と言うものがあるようです。


omachi14[1].jpg
横から見るとこんな感じです。

去年はある病気に悩まされましたが、今年はあれこれ対策をしたお陰か、天気の影響か、今のところ大きな病気も見られません。

茎の数も予定通りの数に収まっています。

ただ、少し気になるのは有効茎歩合。

出た茎のうち、穂になる茎の割合を有効茎歩合と言います。

中苗を採用したのは、この有効茎歩合を高める意図もあります。

穂にならない茎はイネにとってエネルギーの無駄になるので、有効茎歩合を高めることは効率的な栽培につながると思っています。

この有効茎歩合、雄町を稚苗で植えていた時よりも高くなってはいますが、それでも7割台。

雄町の特性で弱い茎を積極的に切っているのか、それとも栽培方法に問題があるのか…、まだまだ分からないことが一杯です。


nasu1[1].jpg
こちらはナス。

5月に苗を植えた直後の様子。

右の方で、息子も何やら作業している様子。

今年は台風がまだ来ないため、傷も少なくナスの出荷は順調に進んでいます。

値段はあまりよくないのですが…

6月終わりから収穫を始め、今が最盛期です。


torakuta1[1].jpg
最後にこちら。

彼はヤンマーの社員ではありません。

トラクター大好きな息子は、トラクターに乗ると、いっちょまえにあれこれ操作したがります。

「右手でこのギアチェンジをして…」

そんな声が聞こえてきそうな表情です。